起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)とは?原因・症状・不登校との関係、回復までを分かりやすく解説【保存版】

起立性調節障害とは何か

起立性調節障害(OD:Orthostatic Dysregulation)とは、立ち上がったときに血圧や心拍数の調整がうまくいかず、めまいや倦怠感などの症状が出る状態を指します。自律神経の乱れと、睡眠をはじめとした生活要因やメンタルの不調など心理要因が、重なることが引き金になるとされています。

また、日本では主に小学校高学年から高校生までの、思春期に多く見られるという傾向があります。

理解をしておきたいのは「本人の意思とは無関係に体が動かなくなる状態」であることです。
行きたくないのではなく、行けない。怠けているのではなく、動けない。

一方で注意が必要なのは、症状の聞き取りのみで診断をされてしまうケースです。これは本人の主観症状を軸とした診断となるため、対象が子どもであれば、確実性という部分で曖昧さを残す可能性があります。

ここを正しく理解することが、回復の第一歩になります。

なぜ思春期に多いのか

思春期は、体の成長が急激に進む時期です。身長が伸び、ホルモンバランスが変化し、心の揺れも大きくなります。

この時期は自律神経が非常に不安定になりやすく、そこに学校での人間関係 進路への不安 部活動の負担 SNS疲れ 睡眠不足などが重なると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。

起立性調節障害は、「身体の成長と環境ストレスが重なった結果」と言えるケースが多いです。

厚生労働省による起立性調節障害データ(児童生徒の症状頻度)

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000055696_2.pdf

主な症状とチェックポイント

起立性調節障害でみられる身体症状として、以下があげられます。

1.立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすい
2.立っていると気持ちが悪くなる。ひどくなると倒れる
3.入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる
4.少し動くと動悸あるいは息切れがする
5.朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
6.顔色が青白い
7.食欲不振
8.臍疝痛(せいさいせんつう)へその周囲の痛みをときどき訴える
9.倦怠あるいは疲れやすい
10.頭痛
11.乗り物に酔いやすい

日本小児心身医学会 編:小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン より)

これらの項目のうち3つ以上当てはまる、あるいは2つであっても症状が強いなどの場合、起立性調節障害が疑われます。

朝起きられない理由

通常、朝になると副交感神経よりも交感神経が優位になることで、体が活動モードに入ります。しかし起立性調節障害では、この神経の切り替えがうまくいきません。

その結果、血圧が十分に上がらない→脳への血流が不足する→強いだるさや眠気が出るという状態が起きます。

これは体の仕組みそのものが乱れている状態ですから、本人のやる気だけでは改善に及びません。

また、自律神経の乱れの他に、心理要因などが重複している背景があるため、「早く寝れば治る」という単調な思考は禁物です

起立性調節障害の種類

起立性調節障害には4つのタイプがあります。
起立性調節障害という括りは広域的なため、状況の把握と対応の曖昧さを回避するために、詳細なタイプ分類をすることが推奨されます。

1.起立直後性低血圧(INOH)
起立直後に血圧低下が起こり、回復に時間がかかるタイプ

2.体位性頻脈症候群(POTS)
起立後の血圧低下はなく、心拍数が異常に増加するタイプ

3.血管迷走神経性失神(VVS)
起立中に急激な血圧低下が起こり、失神するタイプ

4.遷延性起立性低血圧(DeOH)
起立中に徐々に血圧低下が進み、失神するタイプ

この判定には新起立試験という、10分間安静の状態で横になった後に起立し心拍数や血圧の変化を測定する方法が用いられます。

放っておくとどうなるのか

起立性調節障害の症状自体は、多くの場合成長とともに改善していきます。

一方で、朝に起きられないなどの困難は、学校生活に参加機会損失や、それに伴う勉強の遅れが伴います。当然、これは子どもに降りかかる不利益ですから、放置をしてしまうことは推奨されません。

また先述の通り、起立性調節障害は生活要因や心理的要因が背景にあるため、昼夜逆転や不登校といった状況と、付随する自己否定感の強まりや社会不安の増大が続くと、回復改善の過程にも影響が生じます。

大切なのは、本人の症状だけに留まらず生活内容全体を俯瞰的に捉えることです。

お子さんの引きこもりでお悩みの保護者様へ – ココロノトントン/一般社団法人全国子ども支援リスタート協会

病院での治療

病院での診断後、どのような治療を受けるのが一般的か。真っ先に投薬治療をイメージされる方が多いのではないかと思いますが、実際は生活内容の指導や水分・塩分摂取のススメ、適度な運動の推奨など非薬物療法から改善を試みるのが一般的です。

非薬物療法を十分に試したうえで、ミドドリンなどを処方する薬物療法へと移ります。また、薬物療法の最中であっても非薬物療法が中断されるのではなく、あくまで服薬は補助的な役割という考えが主流です。

また心因的な要素にも配慮が必要なため、身体症状の辛さや日々の困難や不安に対しての傾聴など、心理療法も並行して実施されます。

薬だけでは改善しにくい理由

服薬によって表面上の症状緩和を期待することが出来ますが、一方で薬だけでは自律神経そのものを整えることは困難です。

また起立性調節障害は、生活内容や心因性の要素を背景に持つため、生活リズムが崩れたままであったり不安の払拭がされないままとなると、本改善は難しいのが現実です。

起立性調節障害と不登校の関係

不登校の支援現場で多く見かけるのは、「朝起きられないことがきっかけで不登校に移行するケース」です。
起立性調節障害は、こういったケースとの結びつきが強いと言えます。

不登校に陥る流れとしては、

朝起きられない

遅刻が増える

先生や友達の目が気になる

自己否定が強くなる

登校不安が生まれる

不登校になる

という形です。

また、朝起きられない理由が「登校に対する不安」であるケースも少なくありません。これは「登校不安」という心因的な要素が、起立性調節障害の引き金になっているという順序が見て取れます。
重要なのは、カラダとココロどちらの不調が先かを捉えるのではなく、循環することで相互に影響をしているという、全体構図を捉えることです。

支援現場で見てきた回復事例と見解

不登校支援の現場で第一に痛感すること、それは医学的な支援だけでは限界があるという現実です。
「服薬を数ヶ月続けているのにも関わらず、生活内容が変わらずに不登校という現状が全く好転しない」といったケースは決して珍しくありません。

一方で、脱不登校に向けた支援を展開することで、起立性調節障害の悩みが緩和、あるいは回復したという事例を多く見てきました。

例えば、起立性調節障害の診断から半年以上登校できなかった中学生が、サポーターと共に生活リズムの立て直しと安心できる環境作りに注力した結果、段階的に日中の活動が担保され、最終的に復学できたケースがあります。

これは決して特別な事例ではありませんが、お悩みの渦中にいるご家庭は「なぜ改善できたの?」と不思議に思われるでしょう。

ですが理由はハッキリとしています。それはサポーターという第三者が介入したからです。

これは起立性調節障害の影響なのか、もしかすると甘えなのではないか。この疑問はごく自然なものです。なぜなら、ご家庭内では起立性調節障害の症状として朝起きられない場面と、「学校に行きたくない」という気持ちによる狸寝入りの場面が混在しているからです。

どちらだと判別することは重要ではないのですが、第三者が俯瞰して状況を捉え、それをご家族と共有することに大きな意義があります。なぜかというと、第三者が介入するというこの構図がご家庭内に安心を伝播させるからです。そうすると、親御様にも心のゆとりが生まれ、起立性調節障害と不登校の回復に向けて適切な判断ができるようになるのです。

医学とは別角度のアプローチ

心身の困りごとにおいて、医学的なアプローチは大変心強いものですが、一方で多感な時期のお子さんにとって、起立性調節障害という診断は時として重荷となります。お子さんによっては「病院に行きたくない」という発信も珍しくありません。

そういった場合は、「あなたは病気だよ」という切り口ではなく、また「悪いのはあなた」と責めるのではなく、日常を取り戻すために包括的に寄り添うサポートを心がけましょう。

また、包括的なアプローチには「親御様の安心と自信」も必要です。これを確立するため支援に頼ってみることは、決して不思議なことではありません。ココロノトントンの無料相談をぜひご活用ください。親身なサポーターが誠心誠意ご対応いたします。

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