令和型不登校とは?意味・背景・従来の不登校との違いを解説
「令和型不登校」という言葉を見かける機会が増えましたが、実はこの言葉には国が定めた”統一の定義”がありません。
一方で、増え続ける不登校の実態を説明するために、研究者や現場の実践者がそれぞれの観点から「令和型不登校」という呼び方を用いています。
このページでは、まず文部科学省が示す「不登校」の公的な枠組みを確認したうえで、
「令和型不登校」という言葉が、誰によってどんな意味で語られているのかを、所説として整理します。
目次
令和型不登校に“定義”はある?
現時点で「令和型不登校」という言葉に、
厳密な定義はありません。
ただし、定義はされていなくとも
「平成末〜令和にかけて増加が続く不登校」を説明する言葉として
記事・書籍・連載などで散見されます。
ポイント
「定義がない」=「意味がない」ではなく、
“強調点の異なる説明モデル”が同じ言葉で呼ばれている、というのが実態です。
「不登校」には統計上の定義がある
混乱を避けるため、まずは「不登校」という言葉の公的な枠組みを確認します。
「不登校」とは
何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、登校しない、
あるいは、したくともできない状況にあるために、年間30日以上欠席した児童生徒。
ただし、制度面では「30日未満でも支援対象になり得る」旨も示されています。
【モデル①:神村栄一モデル】
「増え続ける不登校」を説明する“令和型”
心理学者で新潟大学教授の神村栄一氏が用いた「令和型不登校」
この「令和型」は、
“不登校増加の質の変化”を説明する意味合いを持っています。
神村モデルのポイント
- 2013年度頃から増え続ける不登校だが、令和になり、増加の割合など以前とは違う局面に入ったという見立て
- 10年前なら不登校になっていなかったかもしれない層が不登校になっているという見立て
- コロナ禍だけでなく、その前からの増加トレンドと連続しているという捉え方
この“令和型”は、社会・学校・家庭環境の変化、または登校以外の選択肢が台頭してきたことで“不登校という選択”が起きやすくなった構造を指摘しています。
【特集 令和型の不登校にどう向き合うか】令和型の不登校について考える:「空気」の影響を意識する|神村栄一 – シンリンラボ
【モデル②:千葉孝司モデル】
「令和の子ども」×「昭和型学校システム」のミスマッチ
元中学教諭で令和型と銘打った著書シリーズ抱える千葉孝司氏が用いる「令和型不登校」
この「令和型」は
「令和の子どもたちと昭和型の学校システムとのミスマッチ」を軸として説明し、不登校への対応を提案しています。
千葉モデルのポイント
- 不登校の要因を個人に置かず、学校の仕組みとの”ミスマッチ”にあると分析
- 不登校が生じる構図を「不安・負担 > 安心感・自信」として、それがミスマッチにより生じているという見立て
- 「別室」「校内教育支援センター」等、学校内での支援設計も含めて議論する
この“令和型”は、家庭や本人の問題というより、昭和から続く学校が前提にしてきた”同調・一斉・評価・時間割”と、令和に生きる今の子ども像のズレを強調しています。
【モデル③:佐野英誠モデル】
「コロナ禍の分散登校やICT普及」による不登校
15年にわたり不登校支援に従事してきた
リスタスクール代表の佐野英誠氏が用いる「令和型不登校」
この「令和型」は
「令和に起きたコロナ禍が新たな不登校問題を引き起こした」と説明し、これに適した対応を提唱しています。
佐野モデルのポイント
- コロナ禍の様式を継続したことで、交友関係の築けない子どもが増加しているという指摘
- スマホやゲームに主導権を握られることで、生活自体がルーズになることを指摘
- 生きる力や活力の低下から、特定の原因がないのに不登校に陥るケースが増加している見立て
この“令和型”は、コロナ禍によって急速拡大したオンライン学習やタブレット普及が、不登校の増加につながっているという見立てから、電子機器との適切な距離感の重要性を強調しています。
【モデル④:実務・メディアで語られる令和型】
「原因が見えにくい」「生活リズムが前景化」
その他の記事や文脈にて扱われる、特定の提唱者に由来しない「令和型不登校」
近年の不登校調査では不登校の理由が
漠然としたもの、あるいは複合的であることが示されています。
- 原因が単発で特定しづらい
- 本人が理由をうまく説明できない/説明しない
- 生活リズムの乱れが欠席の固定化に関わる
そのため上記のような要素を基に、時事的に「令和型」が用いられています。
この”令和型”の注意点は、「原因がない」という断定ではなく、
要因が多層で見えにくい/言語化されにくい という意味で使われがちなことです。
「令和型」という言葉で起きがちな誤解2選
誤解①:令和型=“怠け”
→ 引用の多くは、怠けの話ではなく 環境変化と適応の話として扱っています。
誤解②:令和型=“原因がない”
→ 実際は「特定しづらい」「本人も整理できない」が近い。だからこそ“状態ベース”で見た方が支援につながります。
また令和型に限らずですが、「年間の欠席が30日未満であれば不登校と言えない」というのは誤りです。
→ 調査基準と支援判断は別で、30日未満でも不登校支援の対象になり得ます。
「令和型」モデルの共通点
様々な視線から語られる「令和型不登校」ですが
いずれにも共通するポイントがあります。
- 共通点①:令和の不登校数増加に言及している
- 共通点②:不登校問題がこれまでと異なる性質を帯びていることを示唆している
- 共通点③:現在の不登校事情に警鐘を鳴らしている
「令和」と冠が付くように、
現代の不登校が注目の的であることが分かります。
令和における不登校の実情
小・中の不登校は「約35.4万人」で過去最多(2024年度)
2025年10月29日に公表された「令和6年度調査(=2024年度の状況)」では、小・中学校の不登校は**約35万4千人(過去最多)**で、12年連続で増加しています。
同じ通知の中で、次の点も明記されています。
- 学校内外の機関で専門的な相談・指導等を受けていない児童生徒が約13万6千人
- 90日以上欠席している児童生徒が約6万7千人
令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知):文部科学省
直近10年の増え方が“社会現象レベル”
不登校は「ここ数年で突然起きた」わけではなく、長期トレンドとして増加しています。
たとえば令和5年度(2023年度)の公表資料では、小中合計が 「H26→R5」で「約12.3万人→約34.6万人」と、10年スパンで大幅に増えています。
原因の抽象化と複合化
不登校は単一原因で説明しにくく、実際の調査でも「原因」ではなく、学校が把握した相談内容・状態像が整理されています(令和5年度)。
小中合計(346,482人)に対して多いものを抜粋すると
- 学校生活に対してやる気が出ない等:32.2%
- 不安・抑うつ:23.1%
- 生活リズムの不調:23.0%
- 友人関係(いじめ被害“以外”)の問題:15.2%
- 家庭生活の変化:4.0%
- 教職員との関係:3.0%
- 転編入・進級時の不適応:2.0%
- いじめ被害の情報や相談:1.3%
(いずれも「学校が把握した事実」の割合)
スマートフォンやSNSの普及
令和の子どもを取り巻く環境変化として、スマートフォンやSNSが生活の基盤になった点は無視できません。
こども家庭庁(青少年のインターネット利用環境実態調査)では、
青少年の平均インターネット利用時間(平日1日あたり)が約5時間2分
内訳として高校生は約6時間19分、中学生は約5時間2分と報告されています。
また、スマートフォンが「子ども専用」である割合も高く、
小学生(10歳以上)で70.4%、中学生で93.0%、高校生で99.3%とされています。
ここで押さえておきたいのは、SNS・端末が「不登校の原因」と単純に断定できるわけではない一方で、不安・負担が上がる/生活リズムが崩れる/対人ストレスが増えるといった形で、状態を悪化させたり長期化させたりする“条件”になり得ることです。
令和型不登校にどう対処するか
複数の要因が、複雑に絡み合う「令和型不登校」
多角的かつ包括的なアプローチが求められていますが
一方で、それを家庭内で完結するのには限界があります。
令和流の対策は
「とりあえずでも相談してみる」です。
親御様の青年期には確立されていなかった支援や方法が
無数に台頭してきています。
お子様の将来を切り開く方法が必ずあります。
ぜひ各所にご相談ください。

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